収益化
受託・個人請負とは?副業で仕事を受けるときの手数料・法律・税金
このページの結論
受託は、発注者が決めた要件で作って納め、その対価を受け取る形です。納めれば支払われるので収入は早く、代わりに作ったものは自分の手元に残りません。クラウドソーシングを通すと受注額の16.5%から27.5%が引かれ、2024年11月に施行されたフリーランス新法によって、発注する側には取引条件を明示する義務と、受領日から60日以内に報酬を支払う義務があります。
お読みください: 制度の説明です。個別の契約や税の判断は、専門の窓口や税務署へ。
受託とは、依頼を受けて作って納めること
発注者が「こういうものを作ってほしい」と依頼し、受けた側が作って納め、その対価を受け取る形です。 Webサイトの制作、業務で使うツールの開発、記事の執筆、デザインなどが個人でも受けられる範囲に入ります。 働いた時間ではなく、納めたものに対して支払われるところが、アルバイトのような時給の仕事とは違います。
自分のものを作って出す場合と、何が違うか
同じ「作る」でも、何を作るかを決める人と、作ったものの行き先が違います。 ここを先に並べておくと、あとに出てくる手数料や税金の話も位置づけがはっきりします。
| 受託・個人請負 | 自分のものを作って出す | |
|---|---|---|
| 何を作るかを決める人 | 発注者 | 自分 |
| 作ったものは最後に誰のものか | 納品して発注者のものになる | 自分に残る |
| 収入が発生するまで | 納品して支払われる。早い | 時間がかかる。出ないこともある |
| 手を止めたとき | 止まる | 残っていれば続くことがある |
| 収入の上限 | 使える時間で決まる | 時間と切り離される |
| うまくいかなかったとき | 報酬は支払われる | 使った時間と実費が残る |
| 相手 | 特定の発注者 | 不特定多数 |
受託には、自分のものを作る形にはない利点があります。
- 収入が早く、読める: 納めて条件を満たせば報酬が支払われます。売れるかどうかを待つ期間がありません。
- 実績がない段階でも仕事を取れる: 自分のサービスは見つけてもらうまでに時間がかかりますが、受託は募集している相手に応募するところから始められます。
- 実務の経験が積める: 人が決めた要件で作るので、自分ひとりで作っていると出てこない条件や締め切りに向き合うことになります。
同じ理由から、収入は自分が使える時間で上限が決まります。 働いた分がその都度収入になる形を フロー型 と呼びます。 手を止めれば収入も止まり、納めたものは発注者のもとへ移るので、翌月の収入を作るには次の依頼が要ります。
納めたものの権利をどう扱うかは契約で決まります。 あとから自分の実績として見せられるかどうかも含めて、契約書のその部分は受ける前に見ておくところです。
仕事を受ける経路と、引かれる手数料
依頼が来る経路はいくつかあり、どこを通すかで手元に残る額が変わります。
- 知人や前職からの紹介 間に入る会社がない
- SNSや自分のサイトから 見た人から直接の依頼
- クラウドソーシング経由 成約額から利用料が引かれる
クラウドソーシング経由は相手を探す手間が小さい代わりに、成約した金額から利用料が引かれます。
クラウドソーシングのサービスは、受注した側から引く利用料の決め方がそれぞれ違います。 代表的な3社の受注者側の料率は次のとおりです。
- ランサーズ: 受注者側のシステム利用料は、契約金額(税込)の16.5%です。 金額帯による区分はなく、契約の方式によらず同じ率です。
- クラウドワークス: 契約金額を3段階に分けたスライド制です。 10万円以下の部分が20%、10万円を超えて20万円以下の部分が10%、20万円を超える部分が5% (いずれも消費税が別にかかります)。タスク形式は金額によらず一律20%です。
- ココナラ: 販売手数料は、通常のサービスが22%(税込)、 ビデオチャットのサービスが27.5%(税込)です。金額帯による区分はありません。
クラウドワークスのスライド制は、小さい仕事ほど手数料の割合が重くなる形です。 5万円の仕事は全額が20%の区分に入るので1万円が引かれ、率はそのまま20%です。 30万円の仕事なら、10万円までの部分で2万円、次の10万円で1万円、残りの10万円で5千円の合計3万5千円となり、 全体では約11.7%になります。同じ時間を使うなら、件数を分けるほど引かれる割合が上がる、という関係です。
どのサービスでも、受け取るときの振込手数料が別にかかります。 ランサーズは2026年8月31日の振込分と2027年1月29日の振込分から段階的に改定する予定を公式に告知しているため、 金額は出金する前に各社の案内で確認してください。
見積もりを出すときは、この引かれる分を先に計算しておくと、入金額を見てから慌てずに済みます。 手数料を引いたあとの金額が売上になり、そこから 経費 を引いた残りが所得になります。
発注する側には、法律で決まった義務がある
2024年11月1日に「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス新法)が施行されました。 従業員を使わない個人が、事業として業務委託を受ける場合、この法律が守る対象に入ります。 週の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用が見込まれる人を雇っていなければ「従業員を使用しない」の扱いです。
発注する側に課されている義務のうち、受ける側に直接効く2つ
- 業務委託をしたら直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日などを、 書面または電磁的方法で明示すること
- 報酬の支払期日を、給付を受領した日から起算して60日の期間内で、 かつできる限り短い期間内に定めること
支払期日を定めなかった場合は受領した日が、60日を超える期日を定めた場合は受領日から60日を経過する日が、 それぞれ支払期日とみなされます。「請求の翌々月末に払う」といった条件を示されたときは、 受領日から数えて60日に収まるかを確認する材料になります。
会社員が副業で受ける場合も対象になりえます。公正取引委員会のQ&Aには、 ある事業者に雇用されている労働者であっても、副業で他の事業者から業務委託を受けている場合は、 その受託業務を行う範囲においては「特定受託事業者」に該当し得る、と示されています。
支払われない、条件を後から一方的に変えられたといった場面のために、 フリーランス・トラブル110番という相談窓口が置かれています。 厚生労働省の委託事業で、電話は0120-532-110、受付は平日9時30分から16時30分まで、相談は無料です。
報酬から源泉徴収されることがある
引かれるかどうかは、報酬の中身と、支払う人が誰かで変わります。まず中身の方から見ていきます。
- 国税庁は、源泉徴収の対象になる報酬・料金を8つの区分で挙げています。 その列挙の中に、プログラムの作成やシステム開発は入っていません。
- 一方で、デザインの報酬は対象として明記されています。 工業デザイン、グラフィックデザイン、パッケージデザイン、インテリアデザイン、服飾デザインなどが挙げられています。 同じWeb制作の仕事でも、デザインにあたる部分は扱いが違うことがあります。
- 原稿料も対象です。税率は支払額100万円以下の部分が10.21%とされています。
次に、支払う人によっても変わります。報酬の支払者が「給与等の支払をする者でない個人」である場合、 ホステス等への支払を除いて源泉徴収は不要とされています。 法人や、人を雇って給与を支払っている個人事業主は、原則として源泉徴収の義務を負います。 同じ内容の仕事でも、相手が一般の個人か、会社かで引かれ方が変わるということです。
引かれた場合でも、その分を取られたままになるわけではありません。 確定申告のときに、源泉徴収された税金や予定納税額との過不足が精算され、納めすぎていれば還付されます。 請求書を作る段階で源泉徴収の欄をどうするかは、発注者に確認しておくと入金額のずれが起きにくくなります。
インボイスと、価格の引き下げを求められたとき
消費税を納めていない事業者(免税事業者)は、インボイス(適格請求書)を発行できません。 発注先が課税事業者の場合、インボイスがないと仕入税額控除 (受け取った消費税から、支払った消費税を差し引いて納める仕組み)が原則としてできなくなり、 発注先の消費税の負担がその分だけ増えます。受託でインボイス登録の要否が問題になるのは、この理由からです。
ただし、負担が一度に全部増えるわけではありません。経過措置があり、 2023年10月1日から2026年9月30日までは、インボイスがなくても仕入税額相当額の80%を控除できます。 その後2029年9月30日までは、控除できる割合が50%になります。
「免税事業者だから」を理由に値下げを求められた場合
公正取引委員会は、優越的地位にある事業者が、仕入税額控除ができないことを理由に取引価格の引き下げを求める場合について、 考え方を示しています。交渉が形式的なもので、仕入れる側の都合だけで著しく低い価格を設定したときや、 免税事業者が仕入れの際に支払った消費税額も払えない価格を設定したときは、 優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となりうる、とされています。 一方的に低い価格を提示して、応じない相手との取引を停止した場合も、独占禁止法上問題となるおそれがあります。
取引の適正化を定める法律が適用される取引では、「免税事業者であること」は代金を減額する正当な理由になりません。
副業で受けた収入の申告
給与を1か所から受けていて年末調整が済んでいる人は、給与所得と退職所得を除く各種の所得の合計額が 20万円を超えると、確定申告が必要になります。 この20万円は売上ではなく、収入から必要経費を引いた 所得 で判定します。 クラウドソーシング経由なら、引かれた手数料も含めて計算することになります。
受託の収入が事業所得になるか雑所得になるかは、金額だけでは決まりません。 その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行われているかどうかで判断され、 帳簿書類の保存の有無が重要な考慮要素とされています。 収入金額が300万円を超える規模で活動している場合は、帳簿書類の保存がないという事実だけで機械的に雑所得と判定されるわけではなく、 事業所得と認められる事実があれば事業所得として扱われます。 300万円は線引きの金額ではなく、記帳との関係で意味を持つ目安です。
所得税の確定申告が不要な場合でも、 住民税の申告 は別に必要になります。 帳簿を付ける形や 開業届 ・ 青色申告 との関係は 開業届と青色申告に、経費の範囲や申告の手順は 税金と確定申告にまとめています。
受託と、自分のサービスを組み合わせる
受託と、自分のものを作って出すことは、どちらかを選ばないといけないものではありません。 受託で入る収入で、自分のサービスを作る時間を確保する、という組み合わせ方が成立します。
- 01 受託で収入を得る 納品して支払われる
- 02 出ていく分をまかなう サーバー代や生活の分
- 03 空けた時間で自分のものを作る 収入は出ないことがある
- 04 公開して残す 手元に残り、続くことがある
受託の比重をどこまで下げられるかは、自分のものからの収入がどれだけ出ているかで決まります。
副業としての個人開発では、収入を止めてから移るのではなく、 両方やりながら少しずつ比重を移す進め方に触れています。受託はその「両方」の片方に置けます。 ただし、本業と受託と自分のもので時間が3つに割れるので、 受ける件数の上限を先に決めておかないと、締め切りのある方に時間が寄ります。
次に読むページ
- 収益化にはどんな方法があるか 受託を含めた4つの分かれ方と、お金がどこから来るかの整理
- 副業としての個人開発 時間を売る副業との違いと、収入が出るまでの時間差
- 税金と確定申告 どこからが申告の対象か、経費として扱える範囲
- 収益とコストの関係 入ってくる額と出ていく額を並べて見るための一枚
よくある質問
会社員が副業で受託した場合も、フリーランス新法の対象になりますか?
公正取引委員会のQ&Aには、ある事業者に雇用されている労働者であっても、副業で他の事業者から業務委託契約に基づき業務を受託している場合は、その受託している業務を行う範囲においては「特定受託事業者」に該当し得る、と示されています。従業員を使わない個人であることが前提です。
クラウドソーシングでは、どのくらい引かれますか?
ランサーズは契約金額(税込)の16.5%で金額帯の区分はありません。クラウドワークスは3段階のスライド制で、10万円以下の部分が20%、10万円超20万円以下の部分が10%、20万円超の部分が5%です(タスク形式は一律20%、消費税は別)。ココナラは通常のサービスが22%、ビデオチャットのサービスが27.5%(いずれも税込)です。このほかに、受け取るときの振込手数料がかかります。
プログラムを作る仕事の報酬は、源泉徴収されますか?
国税庁が源泉徴収の対象として挙げている8つの区分の中に、プログラムの作成やシステム開発は入っていません。一方で、デザインの報酬や原稿料は対象として明記されています。さらに、支払う側が給与等の支払をする者でない個人であれば源泉徴収は不要とされており、法人や人を雇っている個人事業主は原則として義務を負います。実際にどう扱われるかは、契約の前に発注者と、判断に迷う場合は税務署に確認してください。
報酬が支払われないときは、どこに相談できますか?
厚生労働省の委託事業として、フリーランス・トラブル110番という窓口が置かれています。電話は0120-532-110、受付は平日9時30分から16時30分まで、相談は無料です。ハラスメントなど就業環境に関することは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口になります。
インボイスの登録はしておくものですか?
発注先が課税事業者かどうかで事情が変わります。免税事業者のままだと発注先は仕入税額控除ができなくなりますが、経過措置があり、2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%、その後2029年9月30日までは50%を控除できます。登録すると消費税の扱いが変わるため、判断は取引の相手と自分の売上規模を踏まえて、税務署や税理士に確認してください。
出典
- フリーランス新法の内容: 公正取引委員会「フリーランス法特設ページ」
- 条文(取引条件の明示義務・報酬支払期日): 厚生労働省「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」
- 副業で受託する会社員の扱い: 公正取引委員会「フリーランス法に関するQ&A」
- 相談窓口: 厚生労働省委託事業「フリーランス・トラブル110番」
- 源泉徴収の対象になる報酬・料金: 国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」
- デザインの報酬の範囲: 国税庁「所得税基本通達 報酬、料金等に係る源泉徴収」
- 原稿料の税率: 国税庁「No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき」
- 支払者による違い: 国税庁「No.2793 報酬・料金等の源泉徴収義務者」
- 確定申告での精算: 国税庁「No.2020 確定申告」
- 申告が必要になる20万円の基準: 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
- 事業所得と雑所得の区分: 国税庁「所得税基本通達35-2(業務に係る雑所得の例示)」
- インボイスと経過措置: 国税庁「インボイス制度への対応に関する検討」
- 免税事業者への価格引き下げの要請: 公正取引委員会「インボイス制度後の免税事業者との取引に係る独占禁止法の考え方」
- ランサーズのシステム利用料: ランサーズ「システム手数料について」
- ランサーズの振込手数料の改定予定: ランサーズ「出金手数料改定のお知らせ」
- クラウドワークスのシステム利用料: クラウドワークス「システム利用料について」
- ココナラの販売手数料: ココナラ「販売手数料について」
2026年8月時点の情報です。