はじめに
個人開発で何が作れるのか?形ごとの違いと公開までのハードル
このページの結論
作れる形は大きく7つあり、選び方で公開のハードルが変わります。Web系は審査なしで今日出せますが、スマホアプリはストアの登録料と審査が要ります。
最初に決めるのは「何の形で作るか」
プログラミング言語を先に選ぼうとする人が多いのですが、 それより前に決めた方がよいことがあります。何の形で世に出すかです。 形が決まると、使う道具も、費用も、公開までの手順も自然に絞られます。
- 01 何の形で作るか Web・スマホ・パソコンなど
- 02 必要な道具 言語や機材が決まる
- 03 公開の仕方 審査の有無が変わる
- 04 収益化の方法 選べる手段が変わる
左端を先に決めると、右側は自動的に絞り込まれます。
公開のハードルがいちばん違う
形ごとの差がはっきり出るのが、公開までの部分です。 Web系は自分の判断で出せますが、スマホアプリはストアの審査を通る必要があります。
| Web系(ページ・サービス) | スマホアプリ | |
|---|---|---|
| 公開の可否を決める人 | 自分 | ストアの審査 |
| 公開までの期間 | 準備ができた時点で公開できる | 審査を通るまで出せない |
| 初期費用 | 無料枠から始められる | 登録料がかかる |
| 直したいとき | 直して置き直せば反映される | 修正のたびに審査を通す |
| 使ってもらうまで | URLを開くだけ | インストールしてもらう必要がある |
| 端末の機能 | 使える範囲が限られる | カメラや通知など幅広く使える |
どちらが良いという話ではなく、直したいときの動きやすさを取るか、 端末の機能とストアで見つけてもらえることを取るか、という違いです。
形ごとの一覧
7つの形について、必要なものと公開の条件を並べます。
- ゲームは動く場所ではなく目的による分類です。実際にはWeb・スマホ・パソコンの いずれかの形で出すことになるので、他の6つと重なります。
- iOSとAndroidは、一般には「ネイティブアプリ」としてまとめられます。 必要な機材と費用が違うので、ここでは分けています。
- 便利ツール・拡張機能は、規模の小ささでまとめたものです。 中身はブラウザの拡張機能、コマンドで動く道具、Botなどで、動く場所はそれぞれ違います。
- Web技術で作ってアプリのように使えるようにする形(PWA、ハイブリッドアプリ)もあります。 最初に選ぶ段階では出てこないことが多いので、この表には入れていません。
Webページ・ブログ
読んでもらう文章や情報を置くサイト。このサイトもこの形です。
- 必要なもの
- ドメインと、置き場所(ホスティング)
- 公開
- 審査なし。ファイルを置けばその場で公開
- 費用
- 無料で始められる。自分専用のURL(ドメイン)を取る場合だけ、その代金がかかる
- 収益化
- 広告・アフィリエイトが中心
公開までが最も短い形。まず1つ出す経験を積むのに向いています
Webサービス
ログインしてデータを保存したり、計算したりするアプリ。ブラウザで動きます。
- 必要なもの
- 動かしておく場所(サーバーかホスティング)、データの保存場所(データベース)、ログインの仕組み
- 公開
- 審査なし。URLを配れば誰でも使える
- 費用
- 無料枠から。人が増えると費用も増える
- 収益化
- 月額課金、買い切り、広告
スマホからもパソコンからも使えるのが強み。アプリストアを通さずに更新できます
iOSアプリ
iPhoneやiPadに入れて使うアプリ。
- 必要なもの
- Mac、Apple Developer Programへの登録
- 公開
- 審査あり。通らないと公開できない
- 費用
- 年99米ドルの登録料(2026年8月時点)
- 収益化
- アプリ内課金、買い切り、広告
端末の機能を使えますが、Macが要る点と審査がある点が最初の壁になります
Androidアプリ
Androidのスマホやタブレットに入れて使うアプリ。
- 必要なもの
- Google Playのデベロッパー登録
- 公開
- 審査あり。iOSより短い期間で通ることが多い
- 費用
- 登録料25米ドル(初回のみ/2026年8月時点)
- 収益化
- アプリ内課金、買い切り、広告
Macが不要で、登録料も一度きり。スマホアプリを試すならこちらから入る手もあります
Windows・Macのアプリ
パソコンに入れて使うアプリ。ファイルをまとめて処理する道具などに向きます。
- 必要なもの
- 配布する場所(自分のサイトやGitHub)
- 公開
- ストアを通さなければ審査なし。自分で配れる
- 費用
- 配布だけなら無料。署名を付ける場合は費用がかかる
- 収益化
- 買い切り、寄付が中心
配るファイルには、作者が確かであることを示す「署名」という仕組みを付けられます。署名がないファイルはWindowsやMacが開く前に警告を出すため、使ってもらいにくくなります。
ゲーム
遊んでもらうことが目的のもの。ブラウザで動かす形から、パソコン向けに売る形まで幅があります。
- 必要なもの
- ゲームエンジン(Unity・Godot・Unreal など)、出す場所
- 公開
- 出す場所による。審査なしで置ける場所と、審査のある場所がある
- 費用
- 無料で作れる。Steamに出す場合は1作品ごとに100米ドル(2026年8月時点)
- 収益化
- 買い切りが中心。広告やアプリ内課金の形もある
他の形と違い、面白いかどうかが評価のすべてになります。出す場所を先に決めると進めやすいです
便利ツール・拡張機能
ブラウザの拡張機能、コマンドで動く小さな道具、チャットのBotなど。
- 必要なもの
- 動かす場所(サービスによっては不要)
- 公開
- ストアに出す場合は審査あり。それ以外は自由
- 費用
- ほぼ無料。拡張機能の登録に少額かかる場合がある
- 収益化
- 直接の収益化は難しい。知ってもらう入口として使える
自分の困りごとをそのまま形にできるので、最初の1つに向いています
7つの形を2つの軸で並べると
公開までのハードルと、どこまで広がりうるか。この2つで並べると、 どれがどういう性質なのかが見えてきます。
↑ 公開までのハードルが高い
↓ 公開までのハードルが低い
図の読み取り
- ・ 便利ツール・拡張機能 — 拡大性は小さいめ、 公開までのハードルは低いめ。 今日中に出せる。ただし大きく広がる性質のものではない
- ・ Webページ・ブログ — 拡大性は大きいめ、 公開までのハードルは低いめ。 審査なしで出せて、読まれれば人数の上限がない
- ・ Webサービス — 拡大性は大きいめ、 公開までのハードルは低いめ。 審査なしで出せて、使われるほど伸びる。副業として始めやすい位置
- ・ Windows・Macアプリ — 拡大性は小さいめ、 公開までのハードルは低いめ。 自由に配れるが、見つけてもらう手段が限られる
- ・ Androidアプリ — 拡大性は大きいめ、 公開までのハードルは高いめ。 登録料は初回のみ。iOSより入りやすい
- ・ ゲーム — 拡大性は大きいめ、 公開までのハードルは高いめ。 当たったときの幅が最も大きい反面、反応がまったく出ないこともある
- ・ iOSアプリ — 拡大性は大きいめ、 公開までのハードルは高いめ。 Macと年額の登録料と審査。3つの壁が重なる
位置はこのサイトの判断による目安です。
色を付けた右下が、公開までのハードルが低いのに広がりうる範囲です。 本業がある状態で始める場合、まずここから入ると、最初の1本を出しきるまでが短く済みます。
左下の便利ツールは、広がりでは劣るものの、今日中に出せる位置にあります。 「公開する」という一連の流れを一度通すには向いています。
ハードルが高く広がりも小さい領域は、そこにあえて出す理由がある場合だけ選ぶ位置です。 ハードルも振れ幅も大きい領域は、時間と費用を先に見積もってから取り組む位置です。
ゲームは「出す場所」で条件が変わる
ゲームだけは、他の形と少し事情が違います。作る道具はほぼ無料で揃うのに、 どこに出すかによって費用も審査もまったく変わるためです。 先に出す場所を決めておくと、途中で行き先を変えずに済みます。
| 審査なしで置ける場所 | Steam | |
|---|---|---|
| 代表的な場所 | itch.io、ブラウザゲームの投稿サイト | Steam |
| 出すまでの費用 | かからないことが多い | 1作品ごとに100米ドル |
| 審査 | なし。置けばすぐ公開 | あり。内容の確認を通す |
| 遊んでもらうまで | リンクを開くだけで遊べる形にできる | インストールしてもらう必要がある |
| 買ってもらえるか | 無料で公開し、任意の支払いを受ける形が中心 | 値段を付けて売る形が中心 |
| 向いている段階 | 最初の1本、反応を見たい段階 | 売ることを決めた段階 |
Steamの100米ドルは1作品ごとにかかり、返金はされません。 ただし、売上が1,000米ドルを超えたあとの支払いから回収できる仕組みになっています。 2作目を出すときは、また同じ額がかかります。
ゲームエンジンの費用
どれも、始める段階では費用がかかりません。違うのは、売れたあとの扱いです。
- Godot — オープンソースで、収益の額にかかわらず費用は発生しません。
- Unity — 個人向けの無料プランがあり、年間の収益が一定額を下回る場合に使えます。 しきい値は見直されることがあるので、公式のプラン比較で現在の条件を確認してください。
- Unreal Engine — 使い始めは無料で、作品ごとの売上が一定額を超えた部分に対して ロイヤリティがかかる形です。
金額と条件は変更されることがあるため、始める前に各エンジンの公式サイトで最新の条件を確認してください。
AIで作りやすさは変わったか
コードを書く部分をAIに任せられるようになったことで、 どの形でも書き始めるまでの距離は縮まりました。ただ、縮まったのは書く部分だけです。
ストアの審査、登録料、Macが必要かどうかといった条件は、AIとは関係なく残っています。 「作れるか」ではなく「出せるか」で見ると、形ごとの差は今も残っている、ということになります。
次に読むページ
- 開発の流れ 作る形が決まったら、次は順番。公開までの工程と、形ごとにどこで条件が変わるか
- 開発環境 手元のパソコンに何を用意するのか。いま持っているもので足りるかどうか
- 個人開発とは なぜ今は組み合わせて作れるのか、その経緯
- 借りるサービスの解説 サーバー・ドメイン・データベースなど、役割ごとの解説
- 収益化の方法 作ったもので収入を得る手段と、そのとき必要になる手続き
よくある質問
複数の形を同時に作ることはできますか?
1つの内容をWebとスマホアプリの両方で出す方法もあります。ただし、最初の1つを出しきる前に広げると、どちらも途中で止まりやすくなります。
Windowsしか持っていない場合、iPhoneアプリは作れませんか?
App Storeに出す作業にはMacが必要になります。まずWeb系で作り、スマホからも使える形にする方法もあります。
いちばん収益になりやすい形はどれですか?
形だけでは決まりません。何人に届くか、続けて使ってもらえるかで変わります。収益化の手段そのものについては収益化のページを参照してください。
ゲームはどこに出すのがいいですか?
最初の1本なら、審査のない場所に置いて反応を見る形が進めやすいです。Steamは1作品ごとに100米ドルが先にかかるため、売ると決めてからでも遅くありません。
ゲームを作るのにお金はかかりますか?
主要なゲームエンジンは、個人が始める範囲では無料で使えます。費用が関わってくるのは、出す場所と、売れたあとの条件です。
出典
- Apple Developer Programの登録料: Apple「Apple Developer Programの登録」
- Google Playのデベロッパー登録: Google Play Console ヘルプ「デベロッパー アカウントの登録」
- Steamの登録料と回収の条件: Steamworks ドキュメント「Steam Direct料金」
- Unityの無料プランの条件: Unity「プランの比較」
- Godotのライセンス: Godot Engine「License」
- Unreal Engineのロイヤリティ: Epic Games「Unreal Engine のライセンスオプション」
登録料は2026年8月時点の米ドル建ての金額です。日本円での請求額は為替によって変わります。