はじめに
個人開発の流れ|作り始めてから公開するまでの順番
何を作るかを決めたあと、次に分からなくなるのが順番です。先にサーバーを借りるのか、先に手元で動かすのか、ストアへの登録はいつなのか。このページでは、作り始めてから人に触ってもらえる状態になるまでの工程を並べ、形によってどこが変わるのかを示します。
このページの結論
どの形を選んでも、決める → 手元で動かす → 借りるものを決める → 公開する → 直す、という順番は変わりません。変わるのは「公開する」の直前です。Webページやツールは自分の判断で出せますが、iOS・Androidはデベロッパー登録と審査が挟まり、費用は作り終わる前に出ていきます。
どの形でも変わらない工程
Webページでも、iPhoneのアプリでも、公開までにたどる大きな順番は同じです。 形が違うと使う道具は変わりますが、工程そのものは入れ替わりません。 まずこの5つを頭に入れておくと、途中で自分がどこにいるのかを見失いにくくなります。
- 01 何を作るか決める 形と、誰の何を助けるか
- 02 手元で動かす 自分のパソコンの中だけで動く状態
- 03 借りるものを決める 置き場所・保存先・ドメインなど
- 04 公開する ここで形ごとに条件が変わる
- 05 直す 使われ方を見て手を入れる
前半の3つは、どの形を選んでも同じ順番で進みます。形によって条件が変わるのは「公開する」のところで、そこから先は形ごとのページに分かれます。
この並びで意外に思われやすいのが、借りるものを決めるのが3番目だという点です。 始める前にサーバーやドメインを契約しておきたくなりますが、 手元で動くものができる前に借りると、必要な性能も置き場所の種類も決まっていない状態で選ぶことになります。 置き場所(ホスティング) や ドメイン は、動くものができてからでも間に合います。
最後の「直す」は、公開したら終わりではないという意味です。 使われ方を見て手を入れ、また公開する。この往復がどれくらいの手間になるかは、形によって大きく違います。 そこも次の節で分かれます。
分かれるのは「公開する」の直前
共通の工程のうち、条件がはっきり2つに割れるのが「公開する」の部分です。 自分の判断で出せる形と、ストアの審査を通らないと出せない形があります。
| 審査がない側 | 審査がある側 | |
|---|---|---|
| 公開してよいか決める人 | 自分 | ストアの審査 |
| 公開までに挟まる工程 | 作ったファイルを置き場所へ反映する操作だけ | デベロッパー登録 → 提出できる形にそろえる → 提出 → 審査 |
| 登録料 | なし。置き場所の無料枠から始められる | Appleは年99米ドル、Googleは25米ドル |
| 費用が出ていく時点 | 自分のドメインを取る時点。取らなければ費用は出ない | 登録の時点。作り終わる前に出ていく |
| 公開後に直したいとき | 直して置き直せば、その場で反映される | 直すたびに審査を通す |
| この側に入る形 | Webページ・ブログ / Webサービス / 自分で配るデスクトップアプリ / ストアを通さない便利ツール | iOSアプリ / Androidアプリ / ストアに出す拡張機能 |
「審査がない側」で公開の操作にあたるのが、作ったファイルを人が見られる場所へ反映する デプロイ という作業です。多くの置き場所では、この操作が自動で走るように設定できます。 無料枠 のある置き場所を選べば、公開の段階で費用は発生しません。
- 01 デベロッパー登録 費用はここで出ていく
- 02 提出できる形にする アイコン・説明文・プライバシーの申告
- 03 提出 ストアの管理画面から送る
- 04 審査 通らなければ指摘に答えて出し直す
- 05 公開
「デベロッパー登録」の時点で費用が発生します。「審査」で止まった場合は、指摘に答えて出し直す往復が入るため、公開日を先に決めていると押し出されます。
費用がかかるタイミングは、形ごとに性質が違う
金額そのものより、いつ・何回かかるのかの方が、続けるかどうかに効いてきます。
- Web系(ページ・サービス・ストアを通さないツール) — 登録料はありません。 自分のドメインを取る場合に、その代金がかかります。
- iOSアプリ — Apple Developer Program の年会費が99米ドルです。 年会費なので、公開を続けている間は毎年かかります。更新しないと、出したアプリはストアから外れます。
- Androidアプリ — Google Play Console の登録料が25米ドルで、これは1回限りです。 翌年以降に同じ額がかかることはありません。
審査にかかる期間
提出してから結果が返るまでの時間は、ストアが公表しています。 Appleは、提出されたものの90%が24時間以内に審査されるとしています。 Google Playは通常数時間から7日程度で、初めての提出や内容によっては長くかかることがあります。
待っている間は手が空くので、そこ自体は詰まりどころになりにくい部分です。 時間を取られるのは、提出できる形にそろえる工程の方です。 アイコン、スクリーンショット、説明文、どのデータを集めるかの申告など、コードとは別の作業が並びます。
Androidで「作ったのに出せない」が起きるところ
Androidには、個人のデベロッパーアカウントだけに関わる条件があります。 登録料が1回限りで入りやすい反面、ここを知らずに進めると、 アプリが完成しているのに公開できない状態で止まります。
2023年11月13日以降に作成された個人デベロッパーアカウントの場合、 新しいアプリを本番環境で公開するには、その前にクローズドテストを通すことが条件になっています。 内容は、12人以上のテスターが14日間以上続けてオプトインした状態を保つことです。
詰まる理由は技術ではなく、人数です。14日間続けて参加してくれる12人を、 身近なところから集められるかどうかで進み方が変わります。 公開までの予定を立てるときは、この期間を工程として入れておくと後戻りが減ります。 集め方と手順はAndroidアプリの流れにまとめます。
この条件は、組織として登録したアカウントや、2023年11月13日より前に作られたアカウントには 同じようには当てはまりません。自分のアカウントがどちらなのかは、登録した時期で決まります。
形ごとの入口
6つの形について、公開までの分かれ目と、共通の工程に何が足されるかを並べます。 リンク先で、それぞれの順番を詳しく扱います。
- 公開の分かれ目
- 置き場所を決めれば、その日のうちに公開できる
- 足される工程
- 足される工程なし。共通の工程だけで公開まで届く
- 公開の分かれ目
- 審査はないが、データの保存先とログインをどこまで借りるかを決める
- 足される工程
- 借りるものが増える。人が増えると費用も動く
- 公開の分かれ目
- Macと年会費と審査。3つが公開の前に重なる
- 足される工程
- Macの用意 → 登録 → 提出できる形にする → 審査
- 公開の分かれ目
- 登録は1回だけだが、個人アカウントにはテスト要件がある
- 足される工程
- 登録 → クローズドテスト → 提出できる形にする → 審査
- 公開の分かれ目
- 自分で配れば審査はないが、署名がないと開く前に警告が出る
- 足される工程
- 配れる1つのファイルにまとめる工程と、署名をどうするかの判断
- 公開の分かれ目
- ストアに出すかどうかで、審査の有無が変わる
- 足される工程
- ストアを通さない形なら足される工程なし。出す場合は登録と審査
ゲームをこの6つに入れていないのは、ゲームが「出す場所」による分類で、 Web・スマホ・パソコンのどれかと重なるためです。作る道具は共通でも、 どこに出すかで費用も審査も変わります。その違いは 何が作れるのかの「ゲームは『出す場所』で条件が変わる」の節にあります。
最初の1つは、工程の数で選ぶ
作りたいものが決まっているなら、それを作るのが早道です。 決まっていない段階では、公開までに挟まる工程が少ない形から入ると、最初の一周が短く済みます。 本業があって、平日に取れるのが1時間ほどという場合はなおさらです。
工程の数で並べると、次のようになります。
- 共通の5工程だけで届く — Webページ・ブログ、ストアを通さない便利ツール。 決めることが少なく、公開の操作も自分の側で完結します。
- 借りるものが1つ2つ増える — Webサービス、自分で配るデスクトップアプリ。 審査はありませんが、データの保存先や配り方を決める工程が足されます。
- 登録と審査が足される — iOSアプリ、Androidアプリ、ストアに出す拡張機能。 工程が増えるうえ、自分の都合だけでは進まない待ち時間が入ります。
工程が少ない形を選ぶのは、楽をするためではありません。 公開まで一度通しておくと、次に別の形へ移ったときに、新しく覚える範囲が「公開する」の部分だけになります。 共通の工程は二周目も同じなので、一周目の経験がそのまま残ります。
このページの前後に読むページ
この流れの手前には「何を作るか」と「手元に何を用意するか」があり、 後ろには「収入をどう得るか」と「事業としての手続き」が続きます。
- 何が作れるのか 手前。6つの形の違いと、公開までのハードルの比較
- 開発環境 手前。手元のパソコンに何を用意するのか
- 収益化 後ろ。公開したものから収入を得る手段
- 事業としての手続き 後ろ。収入が出てから関わってくる表示義務や申告
よくある質問
サーバーやドメインは、作り始める前に契約しておくものですか?
手元で動くものができてからで間に合います。先に契約すると、必要な性能も置き場所の種類も決まっていない状態で選ぶことになり、使わないものに払う形になりやすいです。
審査に落ちたら、登録料はもう一度かかりますか?
かかりません。審査の結果には指摘の内容が付いてくるので、直して出し直します。追加の費用が出るのではなく、出し直しの往復ぶん時間が延びる形です。
iOSとAndroidの両方に出したい場合、工程は2倍になりますか?
共通の工程は1回で済みますが、登録・提出できる形にそろえる作業・審査は、それぞれのストアで別に必要になります。片方を通してから、もう片方に取りかかる方が進めやすいです。
公開したあとに直すのは、どれくらいの手間ですか?
審査がない形は、直して置き直せばその場で反映されます。ストアを通す形は、直すたびに提出と審査が入るため、細かい修正をすぐ反映することはできません。
Google Playのテスト要件は、Androidアプリを出す人全員に関わりますか?
2023年11月13日以降に作成された個人のデベロッパーアカウントが対象です。組織として登録したアカウントや、それより前に作られたアカウントには同じようには当てはまりません。
出典
- Apple Developer Programの年会費: Apple「Apple Developer Program に含まれるもの」
- App Storeの審査にかかる期間: Apple「App Review」
- Google Playのデベロッパー登録料: Google Play Console ヘルプ「デベロッパー アカウントの登録」
- 個人デベロッパーアカウントのテスト要件: Google Play Console ヘルプ「個人デベロッパー アカウントのテスト要件」
- Google Playの審査にかかる期間: Google Play Console ヘルプ「アプリの審査状況を確認する」
2026年8月時点の情報です。登録料は米ドル建てのため、日本円での請求額は為替によって変わります。